Close To The Edge (危機)

 

自分でも信じられないが、
この曲は、リリースは1972年なのでなんと50年以上も前。
プログレッシブ・ロックの金字塔と言われる超々名盤。

アルバムジャケットは、ロジャー・ディーンによる独特なデザインで、
これもイエスの象徴となっている。

当時はまだCDではなくレコードで、
両面で3曲しか含まれていなかった。
クラシックでもないのに・・・約20+10+10分

“Close To The Edge”は18分強と長尺で、
次の4章から成る組曲のようになっている。
そんなロックがあるものか、と当時は驚いた。

1.着実な変革 The Solid Time of Change
2.全体保持  Total Mass Retain
3.盛衰   I Get Up I Get Down
4.人の四季 Seasons of Man

ロックと交響曲と何か(?)が融合したような荘厳な曲。
ヘルマン・ヘッセの『シッダールタ』に
インスパイアされた、精神的な旅の物語だ。


A seasoned witch could call you
熟練した魔女があなたを呼び寄せるかもしれない

From the depths of your disgrace
あなたの恥の深みから

And rearrange your liver
そして、あなたの本質を組み替えて

To the solid mental grace
堅固な精神の優雅さへと変える

And achieve it all with music
音楽の力ですべてを成し遂げ

That came quickly from afar
遠くから素早く届いた音楽で

Then taste the fruit of man
そして、人間の果実を味わい

Recorded losing all against the hour
時の流れに抗う中での喪失を記録する

And assessing points to nowhere
何の目的地もない点を評価しながら

Leading every single one
それがすべてを導く

A dewdrop can exalt us
露の滴が私たちを高揚させ

Like the music of the sun
太陽の音楽のように

And take away the plain
そして平凡を取り去り

In which we move and choose the course you’re running
私たちが動き、進む道を選ぶ場を奪い去る

Down at the edge, round by the corner
端のほとりで、角を回るあたりで

Not right away, not right away
すぐにはではなく、すぐには

Close to the edge, down by a river
淵に近く、川のほとりで

Not right away, not right away
すぐにはではなく、すぐには

Crossed the line around the changes of the summer
夏の変化の中でその境界を越え

Reaching out to call the colour of the sky
空の色を呼び求めながら手を伸ばす

Passed around a moment clothed in mornings
朝に包まれた一瞬を巡り

Faster than we see
私たちが見るよりも速く

Getting over all the time I had to worry
心配しなければならなかった時間を乗り越え

Leaving all the changes far from far behind
変化のすべてを遠く遠く後ろに置いて

We relieve the tension only to find out
緊張を和らげても、ただ見つけるのは

The master’s name
その主の名だけ

Down at the edge, round by the corner
端のほとりで、角を回るあたりで

Close to the edge, just by a river
淵に近く、川のすぐそばで

Seasons will pass you by
季節はあなたを通り過ぎていく

I get up, I get down
私は立ち上がり、そして沈む

Now that it’s all over and done
今や全てが終わり

Now that you find, now that you’re whole
今こそ、あなたが見つけ、ひとつになる

My eyes convinced, eclipsed
私の目は確信し、影を見つめる

With the younger moon attained with love
若い月が愛によって手に入れられ

It changed as almost strained
それは変化し、ぎりぎりの状態になった

Amidst clear mana from above
上空からの清らかなマナの中で

I crucified my hate and held
私は憎しみを十字架につけ、抱きしめた

The word within my hand
手の中の言葉を

There’s you, the time, the logic
そこには、あなたと時、そして論理がある

Or the reasons we don’t understand
または、私たちが理解できない理由が

Sad courage claimed the victims
悲しい勇気が犠牲者を奪い

Standing still for all to see
すべての人に見えるように立ち尽くす

As armoured movers took
鎧をまとった動きが進み

Approached to overlook the sea
海を見渡すために近づく

There since the cord, the license
そこには紐や許可証があった

Or the reasons we understood will be
または、私たちが理解した理由があるだろう

Down at the edge, close by a river
端のほとりで、川のすぐそばで

Close to the edge, round by the corner
淵に近く、角を回るあたりで

Close to the end, down by the corner
終わりに近づき、角のあたりで

Down at the edge, round by the river
端のほとりで、川を回るあたりで

Sudden call shouldn’t take away the startled memory
突然の呼び声が驚きの記憶を奪ってはいけない

All in all, the journey takes you all the way
結局、旅はあなたを最後まで連れて行く

As apart from any reality that you’ve ever seen and known
あなたが今まで見たり知ったりした現実から離れて

Guessing problems only to deceive the mention
問題を推測しても、それは言及を欺くためのもの

Passing paths that climb halfway into the void
虚無へと半ば登る道を通り過ぎる

As we cross from side to side, we hear the total mass retain
左右を行き交うたびに、全体の質量を保つ音を聞く

Down at the edge, round by the corner
端のほとりで、角を回るあたりで

Close to the end, down by a river
終わりに近づき、川のほとりで

Seasons will pass you by
季節はあなたを通り過ぎていく

I get up, I get down
私は立ち上がり、そして沈む

In her white lace
彼女の白いレースの中で

You could clearly see the lady sadly looking
悲しげに見つめる女性がはっきりと見える

Saying that she’d take the blame
彼女が自分に責任があると言い

For the crucifixion of her own domain
彼女自身の領域の磔刑について

I get up, I get down
私は立ち上がり、そして沈む

I get up, I get down
私は立ち上がり、そして沈む

Two million people barely satisfy
200万人の人々がほとんど満足できない

Two hundred women watch one woman cry, too late
200人の女性が1人の女性が泣くのを見守る、手遅れで

The eyes of honesty can achieve
誠実の目が成し遂げられる

How many millions do we deceive each day?
私たちは毎日何百万人を欺いているのだろうか?

I get up, I get down
私は立ち上がり、そして沈む

The time between the notes
音符の間の時間が

Relates the color to the scenes
色と場面を結びつける

A constant vogue of triumphs
絶え間ない勝利の流行

Dislocate man, so it seems
人を動揺させる、それが見える限り

Close to the edge, down by the river
淵に近く、川のほとりで

Down at the end, round by the corner
終わりに近づき、角を回るあたりで

Seasons will pass you by
季節はあなたを通り過ぎていく

Now that it’s all over and done
今や全てが終わり

Called to the seed, right to the sun
種に呼びかけ、太陽へ向かう

I get up, I get down
私は立ち上がり、そして沈む

I get up, I get down
私は立ち上がり、そして沈む


この歌詞は非常に詩的で象徴的なイメージが多く、
解釈の幅が大きい。
比喩表現や哲学的なテーマが中心となり、
自然、感情、精神的な旅が絡み合っている。

Q.:
ここでの「edge」は何を表しているか?

A.
この歌詞における「edge(淵)」は、単なる物理的な場所を表すだけでなく、象徴的・比喩的な意味が込められている可能性が高い。文脈や詩のテーマを考慮すると、以下のような解釈が考えられる。
 

  1. 人生や存在の「淵」
    「edge」は、人生や精神的な旅の中で極限の状態や転換点を象徴している可能性がある。これは、人生の岐路、境界、あるいは未知の領域に向かう瞬間を表しているかも知れない。歌詞には「川のほとり」や「角を回る」といったフレーズが繰り返されており、何か新しい領域や未知の可能性に向かって進む感覚が描かれている。
     
  2. 精神的な挑戦や内面的な葛藤
    「edge」は、内面的な葛藤や限界に挑む状況を象徴しているとも考えられる。歌詞中の「I get up, I get down(立ち上がり、沈む)」というフレーズは、感情の浮き沈みや葛藤を示しており、人生の「淵」で揺れ動く心の状態を反映しているようにも感じられる。
     
  3. 自然や宇宙の境界
    歌詞全体を通じて、自然や宇宙とのつながりがテーマになっている部分が多くある。「edge」は、物理的な場所としての自然の淵、たとえば「川のほとり」や「空と地球の境界」を指している可能性もあるし、象徴的に用いられて、自然と人間、宇宙と個人のつながりを暗示しているとも考えられる。
     
  4. 哲学的・精神的な「境界」
    この「edge」は、現実と精神世界の境界や、既知と未知の間に存在する場所を表している可能性がある。歌詞には「reality that you’ve ever seen and known(これまで見たり知ったりした現実)」というフレーズがあり、私たちが慣れ親しんだ現実から離れ、新しい真実や視点に向かう旅を描いているようだ。

 
この歌詞は非常に難解で、抽象的かつ象徴的な表現が多く含まれている。それがプログレッシブ・ロックの特徴でもあるし、特にこの曲を作ったYesのようなバンドは、リスナーに深い解釈や想像を促す詩的な表現を得意としている。

「Close to the Edge(淵に近く)」というタイトル自体が、何か大きな転換点や限界点にいることを暗示しており、それが人生の岐路であったり、精神的な覚醒であったり、あるいは自然や宇宙との一体感であったりと、聴く人それぞれの視点で意味が変わるのが魅力となっている。

難解さの理由:
1) 抽象的なイメージ
歌詞には「精神的な優雅さ」「太陽の音楽」「季節があなたを通り過ぎる」など、具体的な意味が掴みづらい表現が多い。これらは直訳ではなく、象徴や感覚で捉える必要がありそうだ。

2) 象徴性が強い
「淵(edge)」や「川(river)」など、特定の場所や状況を示す言葉が、物理的な意味以上の象徴的な役割を果たしている。

3) 哲学的テーマ
人生の意味、精神的成長、自然と宇宙の調和など、深遠なテーマを扱っているため、聴く側の経験や価値観によって解釈が変わってくる。

で、どう楽しむべきか
難解さをそのまま受け止めて、自分なりに解釈して楽しむのがこの曲の醍醐味か。リズムやメロディーに身を任せつつ、歌詞の一部が心に響く瞬間を探したり、自分の経験や感情と結びつけたりすることで、より深い感動を味わえる。と難しそうなことを楽し気に言いたくなる。

とにかく、ジョン(とイエスの当時のメンバー)以外に
こんな壮大な曲は決して作れない。


『シッダールタ』とこの曲の関係については、
こちらの店長のりちゃん さんの解説が詳しいです。
Yes『Close to the Edge』歌詞解説:ヘッセ『シッダールタ』との深い関係|店長のりちゃん

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